奈良県生駒の耳鼻咽喉科 アレルギー専門医 衛藤耳鼻咽喉科

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衛藤耳鼻咽喉科の院長は日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医です。
日本アレルギー学会の認定アレルギー専門医は2014年7月現在、全国で内科医などを含む全科で3085名です。このうち耳鼻咽喉科医は約1割の289名、奈良県内には耳鼻咽喉科医のアレルギー専門医は2名です。
これら専門医の知識と経験をいかし患者さまにご満足いただける診療を日々心掛けています。

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中耳炎
中耳とは鼓膜(写真1:正常鼓膜)の内側の部位で、空気の入った中耳腔と呼ばれる小さな部屋があります。中耳のさらに内側には聞こえの器官である蝸牛(かぎゅう)と平衡に関する器官である前庭と三半規管がある内耳があります。中耳腔には3つの小さな骨(耳小骨)があり、鼓膜の振動を内耳に伝えています。中耳腔と鼻の奥は、耳管と言われる管でつながっています。耳管はふだんは閉じていますが、ものを飲み込んだりあくびをすると開いて中耳腔の圧の調整をしています。また、中耳腔に出てきた粘液を鼻へ排除する役割もあります。

中耳の炎症を中耳炎と言います。主な中耳炎には…
1.急性中耳炎:
風邪などの時に細菌が鼻から耳管を通って中耳腔に入り感染を起こした病気が急性中耳炎(写真2:急性中耳炎)です。

2.慢性中耳炎:
急性中耳炎の感染が改善せず、鼓膜に孔が開き、膿が出続ける状態が長く続いている病気が慢性中耳炎(写真3:慢性中耳炎)です。

3.滲出性中耳炎:
細菌感染による炎症がほとんどないのに、中耳腔に渗出液と呼ばれる分泌物が貯まったままになる病気が滲出性中耳炎(写真;渗出性中耳炎)です。

4.真珠腫性中耳炎:
鼓膜の一部が内側に凹み、そこに皮膚が入ってきてかたまりをつくる病気が真珠腫性中耳炎(写真5:真珠腫性中耳炎)です。

これらの中耳炎の診断には、鼓膜の診察が重要です。内視鏡を使うことにより鼓膜の隅々まで細かく見る事ができます。中耳炎で通院中の患者さまも毎回鼓膜を見ていただくことで、ご自身の治療経過を知ることができます。


治療ですが…
1.急性中耳炎では、軽症でウイルス性が強く疑われる場合を除き、抗菌薬を使用します。炎症が強く鼓膜の腫れが強い場合は、鼓膜に小さな孔を開け中耳腔に貯まった膿を抜く鼓膜切開を行うこともあります。多くの患者さまがこれらで良くなられますが、特に乳児や幼児の中には耐性菌などの問題、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の合併などにより難治性の場合もあります。

2.慢性中耳炎の患者さまは、ほとんどが大人です。炎症が強く耳漏が見られる場合には、抗菌薬の内服や点耳液で治療します。耳漏が止まらない患者さまやたびたび耳漏を繰り返す方、聴力の改善が期待できる方などには、病院での手術療法をお勧めしています。

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3.滲出性中耳炎の方は、耳管の機能が悪く中耳腔の圧の調整や貯まった滲出液の排出が出来なくなっています。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎を合併した患者さまも多く、こういった病気を合わせて治療することが大切です。耳管の働きを助けるため、鼻から中耳腔に空気を送り込む通気と呼ばれる療法を行います。鼓膜に小さな孔を開け、中耳腔に貯まった滲出液を抜く鼓膜切開を行うこともあります。難治性の場合には、鼓膜に換気用の小さなチューブを挿入する手術(チュービング)を行い、中耳腔に滲出液がたまらないようにする療法もあります。(写真6:チュービング)

4.真珠腫性中耳炎は、進行性の病気です。軽度の患者さまなどを除き病院での手術療法をお勧めしています。

外耳炎
耳介と鼓膜までの道(外耳道)を合わせて外耳と言います。耳かきや綿棒などで外耳を傷つけて炎症を起こす病気が外耳炎です。乳児や小児などでは外耳道が狭く、通常の鼓膜鏡を使った診察では中耳炎と区別し難い事も多いですが、内視鏡を使うことで区別し易くなります。(写真7:外耳炎)
治療は、耳掃除などの刺激をやめていただくことが一番大切です。次に薬物療法として内服や点耳の抗菌薬、ステロイド軟膏、抗真菌薬などをそれぞれの患者さまに合わせて処方しています。

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鼻の中の空気が通るところを鼻腔と言います。鼻腔の左右には、頬の後ろに上顎洞、目と目の間に篩骨洞、額の後ろに前頭洞、鼻腔の奥に蝶形骨洞と呼ばれる空洞が対になってあります。これら4つの空洞が副鼻腔です。副鼻腔は小さな通路で鼻腔とつながっています。

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風邪などの時に鼻腔の細菌やウイルスが通路を通って副鼻腔に入り、副鼻腔に炎症を起こす病気が急性副鼻腔炎です。
急性副鼻腔炎の感染が改善せず、鼻汁、鼻づまり、臭いがしにくいなどの症状が長く続いている病気が慢性副鼻腔炎です。慢性副鼻腔炎ではしばしば、粘膜が長期間の炎症刺激により腫れた鼻茸と呼ばれるポリープ状のものが鼻腔内に見られます。これが鼻づまりをひどくします。(写真1:鼻茸)

治療は…
1.急性副鼻腔炎では、軽症でウイルス性が強く疑われる場合を除き、抗菌薬を使用します。多くの患者さまがこれで良くなられます。

2.小児の慢性副鼻腔炎は、成人のものに比べ治りやすく、マクロライド系抗菌薬を1~2ヶ月少量内服することで約7割の患者さまが良くなられます。しかし、この方法でも良くなられない場合、他の抗菌薬や、漢方薬などで加療します。長期経過では、ほとんどの方が良くなられます。

3.大人の慢性副鼻腔炎は、罹病期間も一般に長く、アレルギー性鼻炎や喘息の合併など細菌感染以外の要因も関与していることも多く難治性です。マクロライド系抗菌薬による3ヶ月間の内服や他の抗菌薬、漢方薬などのを合わせた薬物療法を行います。薬物療法で良くなられない患者さまで軽症でない方には、病院での手術療法をお勧めしています。
最近の副鼻腔炎の手術は、内視鏡を使った鼻内手術をされる施設がほとんどです。内視鏡で見ながら副鼻腔と鼻腔との間の道を大きく広げ掃除し、副鼻腔に膿がたまりにくくする手術です。手術による痛みも少なく、術後成績も格段に良くなっています。

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鼻のアレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。花粉やハウスダストなどに反応して起こります。このアレルギーの原因物質を抗原と呼びます。花粉が原因である花粉症では、その他、目のかゆみ、なみだ目、目がごろごろするなどの眼の症状、のどのかゆみ、咳、皮膚のかゆみ、頭痛などを伴うこともあります。

アレルギー性鼻炎の診断ですが…
1.まず詳しい問診が大切です。どういった時にどのような症状が出るのか?いつから?季節は?御家族にも同じ症状が?犬や猫、鳥、兎、ハムスターなどの飼育は?畑仕事やガーデニング、草刈りは?……などなど

2.次に診察です。鼻の粘膜の色や腫れ具合、鼻汁の量や質を詳しく観察します。

3.その次に検査ですが、鼻汁中好酸球検査を行いアレルギーの関与の有無をチェックします。この検査はアレルギー鼻炎診断の基本の検査で、鼻汁の中の細胞にアレルギーに関与する好酸球がどのくらいあるのかを顕微鏡を使い調べる検査です。当院では臨床検査技師か医師がその場で迅速に検査を行っています。  
さらに詳しい検査としてアレルギーを起こす原因物質を調べる血清特異的IgE抗体検査があります。この検査には、通常の採血による検査と、注射による採血をいやがる小児や検査結果を早く知りたい方に対して、ほとんど痛みがない指先から少量の血液を採取する検査も行っています。
鼻のかゆみ・くしゃみ、鼻みず、鼻づまりといった鼻症状があり、鼻汁中好酸球検査で好酸球が確認され、さらに血清特異的IgE検査が陽性だとアレルギー性鼻炎と診断できます。

アレルギー性鼻炎の治療は、患者さまと相談し、原因抗原を吸わないようにする工夫、内服や点鼻液などの薬物、レーザーを用いた鼻粘膜焼灼術などを組み合わせて行っています。

まずは相手、抗原を知って下さい。
主なものについて書いてみました。

1.ハウスダスト:
室内のほこりの事です。アレルギー性鼻炎の原因となるのは主にその中に含まれるダニの分泌物やし尿です。ダニは0.1~1.0mm程度の大きさのクモに近い生き物です。主としてじゅうたんや畳,布団,カーテン,ぬいぐるみ等の繊維の中で繁殖します。
繁殖を防ぐのは,これらのすみかを減らすことや室内の温度を25℃以下に,湿度を60%以下に保つこともよいです。特に畳の上にじゅうたんは要注意です。(ダニ一の比率 板:畳:じゅうたん=1:10:100)
植物は室内に置かない。布団は日頃からよく乾燥させ,掃除機をかけるのも有効です。換気や大掃除の時のマスク,空気清浄器などもほこりを吸わないためによいでしょう。風邪をひいたり,睡眠不足などの時は鼻の粘膜が一層敏感になり,症状が悪化しやすいです。(写真1:ダニ)

2.スギ花粉:
日本独特のもので,近年特に増えています。現在では人口の26.5%が患者と推定されています。スギ花粉は,北海道と沖縄を除く全国で春に飛散します。 奈良県では2月初旬より4月下旬にかけて飛散します。鼻症状や眼症状が高い頻度でみられますが,喉の痒みや痛み,口の乾燥感,味覚障害,耳の痒み,頭重感や全身倦怠感など症状は多彩です。(写真2:スギ)

3.ヒノキ花粉:
スギとともに建築材として最も広く利用されています。明治中期に渡来し、福島県以西の本州と四国、九州に分布します。奈良県での花期は4月です。スギ花粉との共通抗原性があり、スギ花粉症の6割の人がヒノキ花粉にも反応します。また、今後とも植林増加などから飛散花粉は確実に増加すると考えられます。(写真3:ヒノキ)

4.イネ科花粉(カモガヤ,ハルガヤ,ホソムギ,スズメノテッポウなど):
どれも似通っており細長い線形です。空き地,公園,道ばたなど身近な場所に生えています。イネ科間の交差性は強く,カモガヤ陽性の場合は他のイネ科植物についても注意が必要です。奈良県では主に4月下旬より7月中旬と8月中旬から9月初旬に飛散します。(写真4:1.2.3.4イネ科)

5.ブタクサ花粉(キク科):
帰化植物で,アメリカ,ヨーロッパを中心に広く分布し,日本でも全国的にみられます。高さは60~100cm,道ばたや荒れ地,畑の周辺などにみられます。葉の大きなオオブタクサと交差性が強いです(穂はブタクサに似ていますが,高さは1~2.5mとかなり大きいです。)どちらも,奈良県では8月から10月にかけて飛散します。花粉の飛散距離はあまり遠くなく,繁殖地の周辺に多量の花粉を飛散させます。(写真5:ブタクサ)

6.ヨモギ(キク科):
全国の野原などにごく普通に見られる50~100cmの多年草です。奈良県での花期は9月~10月です。(写真6:ヨモギ)

7.コナラ(ブナ科):
日当たりのよい全国の山野に普通に見られる広葉樹です。高さは15~20mです。当院のある北生駒から学園前の北にある住宅地の周囲に多く分布しています。奈良県での花期は4月下旬から5月です。(写真7:コナラ)

8.カビ(真菌類)
アルテリナリアは、植物,土壌,窓枠などに発生し,その空中飛散胞子はしばしばアレルギー性鼻炎,喘息の原因となります。カンジダは、白カビの1種で,人体中にもみられます。その空中飛散胞子はアレルギー性鼻炎,喘息の原因となります。アスペルギルスは黒カビの1種で,空中を飛散した胞子を吸入することにより,アレルギー性鼻炎,喘息のほか過敏性肺炎等を起こすことがあります。
(写真8:カビ)

9.ネコ,イヌ:
直接触れたり,そのフケや分泌物を室内塵粒子(ハウスダスト)として吸入することにより,アレルギー性鼻炎,喘息,アレルギー性結膜炎等を起こすことがあります。
(写真9:ネコ・イヌ)

10.ゴキブリ:
現在、世界中で約4,300種が記録され、そのうち約50種が国内産のゴキブリで、家住性ゴキブリはチャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリの4種が主な種類です。
死骸が室内塵中に含まれていて吸引抗原としてアレルギーに関与しています。
※尚、抗原の写真は、IgE抗体から調べるアレルゲン(監修:日本臨床アレルギー研究所信太隆夫先生 作成:(株)ヤトロン研究開発本部)から(株)ヤトロンさまの許可を得て使用しています。


薬物療法では、抗アレルギー剤を主体に点鼻液や漢方薬などを使用し、患者さまそれぞれにあった薬を処方するよう努めています。

スギ花粉症に対する初期療法…
スギ花粉症では、毎年症状の出る患者さまには初期療法をお勧めしてます。初期療法は、花粉が飛ぶ前、つまり鼻症状の出る前から抗アレルギー剤や点鼻液などを持続的に使用していただく療法です。こうすることにより、飛散時期を快適に過ごしていただける事が期待できます。初期療法が間に合わなくても、つまり鼻症状が既にでてしまっても、早い段階で治療を開始していただく方が治療効果は高いです。早めの来院をお勧めします。また、毎年の患者さまで、同じ薬で調子の良い患者さまには、長期処方(成人で2ヶ月間まで)も行っています。

レーザーによる鼻粘膜焼灼術は…
レーザー光で鼻粘膜表面が凝固されることにより、1.鼻粘膜の変化により、抗原の進入が阻止されます。2.アレルギーによる粘膜の張れが抑えられ、鼻づまりが起こりにくくなります。3.分泌腺が減少し、鼻汁が減ります。
レーザー治療は,花粉症などのアレルギー性鼻炎に対し約7割の有効性があると言われています。
実際の手術ですが、まず麻酔のため麻酔薬を染み込ませた綿花を両方の鼻の中に挿入します。30分待った後に綿花を除去します。鼻用の内視鏡で観察しながら鼻粘膜をレーザーで焼きます。手術時間は、両方の鼻で10~15分掛かります。その後1時間安静にしていただき、終了です。術後の通院は1週間後と1ヶ月後です。術中と術後の痛みはあっても軽度の方がほとんどですが、術後両側の鼻づまりが約1週間つづきます。約1ヶ月で鼻粘膜の傷は軽快します。(写真10:レーザー)

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1.アデノイド腺様増殖症:
鼻のその奥、または鼻とのどの間の部位を上咽頭と言います。小児ではこの部位にアデノイド(咽頭扁桃)と呼ばれるリンパ組織が発達しています。4~6歳ごろ一番大きくなりその後しだいに縮小します。これが大きすぎる状態をアデノイド腺様増殖症と呼び、鼻づまり、いびき、口呼吸、アデノイド顔貌と呼ばれる口を半開きにした顔つき、歯牙の乱れ、虫歯、睡眠時無呼吸症、滲出性中耳炎、副鼻腔炎など様々な病気の原因になることがあります。通常成長により縮小しますが、症状や合併症が強い場合は手術適応になります。
(写真1:アデノイド)

2.仮性クループ:
ウイルス感染や細菌感染により声帯の下にある声門下腔が急速に腫れる病気を仮性クループ(急性声門下喉頭炎)と言います。症状は突然の咳と呼吸困難、発熱、のどの痛みです。努力呼吸とイヌの吠えるような咳が特徴です。小児に多く、窒息の危険性もあります。早期発見、早期治療が大切です。
(写真2:仮性クループ)

3.声帯結節:
長期間にわたる声の濫用あるいは無理な発声で両側の声帯が強くぶつかり合い炎症を起こし、腫れて起こります。両側声帯にコブのようなものができ、これが発生時に両側声帯が閉じるのを邪魔し、声がれが生じます。よく声を出すこどもや、大人では女性の教師や保育士、歌手、エアロビクスのインストラクターなどに多いです。治療は、まず大声を出さないなどの声帯の安静と、うがいや水を飲む、マスクをするなどののどの加湿が必要です。経過により手術療法が適応になることもあります。
(写真3:声帯結節)

4.喉頭癌:
頭頸部の中では最も頻度の高い悪性腫瘍です。タバコとの関連が強く、男性に多く、50歳以後に増加します。症状は初期より声がすれが生じることが多いです。進行すると血痰や嚥下障害が出現し、さらに呼吸困難を来します。
写真は喉頭癌の前癌状態である白板症です。放置すると癌化する可能性は高いです。
(写真4:白板症1、白板症2)

5.喉頭肉芽腫:
麻酔による挿管などの機械的刺激や胃酸の咽喉頭腔までの逆流による刺激により声帯の後部にできる炎症性の腫瘤です。治療は、胃酸を押さえる薬や吸入薬により治療します。経過により手術適応になる場合もあります。
(写真5:喉頭肉芽腫)

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耳の奥には聞こえの器官である蝸牛(かぎゅう)と、平衡に関する器官である前庭と三半規管がある内耳があります。この内耳が傷害されるとめまいが起こります。この他めまいは、脳、頸椎、循環、代謝などの病気によっても起こります。
めまいの診断は、まず詳しい問診から始めます。めまいがいつどのようにした時に起こったのか?回転性のめまいなのか、浮くようなめまいなのか?めまいは何分ぐらい続いたのか?繰り返したのか?また、めまいの症状ばかりでなく、意識、言語、歩行、手足のしびれなどの感覚や運動、きこえ、耳鳴り、耳づまり、吐き気、おう吐などの随伴症状も大事です。
次に診察ですが、全身状態、鼓膜の観察、運動障害の有無の確認、眼球の動きを診ます。特に眼球の動きの観察はめまい診断に大切です。当院ではビデオ装置を内蔵した眼鏡(フレンツェル眼鏡)を掛けていただき、モニターで眼球の動きを観察します。内耳の病気では、めまい発作時に眼球が水平や時計方向、反時計方向に規則正しく動く眼振がしばしば診られます。
(写真1:フレンツェル眼鏡)

検査ですが…
1.平衡機能検査:
臨床検査技師または医師の前で立っていただき、足踏みをしてバランスの異常を診たり、重心動揺計と言う機械を使用し検査します。(写真2:重心動揺計)

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2.聴力検査:
内耳機能の評価をするために行います。

3.シェロングテスト:
自律神経機能の検査として、安静時と急に立ち上がった直後、立ち上がってから10分後のそれぞれの血圧を測定し、体位による血圧の変化を診ます。

4.カロリック検査:
注射器で冷たい水や温かい水を耳の穴に注入し、内耳を冷やしたり、温めたりして内耳の働きを診る検査です。

これらの問診、診察、検査結果を総合的に評価し病気の障害部位を診断します。

主な内耳障害によるめまいについて説明します。
1.良性発作性頭位めまい症:
三半規管は内耳の中にあって、半円状の管が3つそれぞれ直角をなしてつながっている器官です。管の中はリンパ液で満たされており、頭を回転させるとリンパ液が動き半規管の神経が活動するようになっています。人はこの働きにより平衡バランスを取っています。
良性発作性頭位めまい症は、この管の中に異物が混じった病気です。こうなった状態で頭を回転させると、異物はリンパ液と一緒に動き神経にぶつかることによって半規管の神経が過度に刺激され、めまいを感じるようになります。症状は、起き上がったときや横になるとき、寝返りを打ったときなど頭を動かしたときに10~20秒の短いめまいを起こします。頻度の高いめまい疾患で、中年以降の女性に多いです。
治療法は、半規管に混じった異物を元有った場所に返す耳石置換術を行います。また、通常の抗めまい薬も使用します。

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2.メニエル病:
内耳にある聞こえの器官である蝸牛と平衡に関する器官である前庭と三半規管の中には内リンパ液が内蔵されています。この内リンパ液が何らかの理由で増えた状態を内リンパ水腫といいます。この状態で蝸牛が傷害されると難聴、耳鳴り、耳閉感が、前庭と三半規管が傷害されるとめまいが起こります。これがメニエル病です。
めまいの特徴は、特別の誘引なく発生し、はきけ、おう吐を伴うことが多く、10分~数時間続くことです。めまいの性状は回転性のことが多いですが、浮いたような感じの場合もあります。難聴と耳鳴り、耳閉感は、主にめまい発症前または発作と同時に発現することが多いです。メニエル病では、これらめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感を来す発作が繰り返し起こります。発作の頻度は、週数回の高頻度から数年に1度まで様々です。家庭・職場環境の変化、ストレスが発作回数に影響することが多いです。
治療法は、めまい発作時は、安静と抗めまい薬、重曹液(メイロン)、吐き気止め、鎮静剤などで加療します。回復期には、内リンパ水腫の改善を期待しイソバイドと呼ばれる利尿剤を使用します。この他、内耳循環改善剤、ビタミンB12、抗めまい薬、漢方薬などで加療します。

3.前庭神経炎:
平衡に関する器官である前庭と三半規管がウイルス感染や血流低下により傷害され起こるとされています。突然回転性めまいが起こり、冷や汗、はきけ、おう吐などを伴いますが、難聴や耳鳴りは伴いません。
治療法は、安静と抗めまい薬、重曹液(メイロン)、吐き気止、鎮静剤などで加療します。

4.慢性中耳炎に伴うめまい:
慢性中耳炎が増悪し内耳まで炎症が波及した時に起こります。

5.突発性難聴やハント症候群に伴うめまい:
突発性難聴やハント症候群に伴いめまい発作が起こることがあります。→難聴の説明へ

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難聴
耳介と鼓膜までの道(外耳道)を合わせて外耳と言います。中耳とは鼓膜の内側の部位で、空気の入った中耳腔と呼ばれる小さな部屋があります。中耳のさらに内側には聞こえと平衡に関する器官がある内耳があります。中耳腔には3つの小さな骨(耳小骨)があり、鼓膜の振動を内耳に伝えています。
難聴は、外耳・中耳における病変による伝音難聴と、内耳から脳までの病変による感音難聴に分けられます。(図1:耳模式図)

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子供の難聴
子供の難聴は、音に反応しない、ことばが遅い、返事をしないなど周囲の人に気づかれることが多いです。原因は、先天的なもの、中耳炎によるもの、おたふく風邪などのウイルス感染によるもの、大きな音を聞いた事による音響外傷、心因性のものなどがあります。いずれも早期に診断し、適切な対応をとることが重要です。
新生児聴覚スクリーニング;先天性の難聴についてですが、生まれつき聞こえが悪い赤ちゃんは1,000人に1~2人おられます。現在は、全国の約70%の産科施設で生後すぐ聴覚検査が行われています。早い段階で診断をつけて、適切な治療や訓練を受けることで、ことばの発達などに影響しないようにするため行われています。

大人の難聴
1.急に起こるものとして、原因不明の突然起こる感音難聴である突発性難聴、ヘルペスウイルス感染によるハント症候群、おたふく風邪などのウイルス感染によるもの、大きな音を聞いて起こす音響外傷、鼓膜外傷や頭部外傷によるもの、中耳炎によるもの、薬剤によるもの、耳あか(耳垢)などがあります。
2.徐々に起こるものとして、老人性難聴、騒音性難聴、耳硬化症、脳腫瘍などがあります。
3.回復・変動があるものとして、メニエル病、外リンパ漏などがあります。

主な病気について説明します。
1.突発性難聴:
突然起きる原因不明の感音難聴です。原因として内耳のウイルス感染、循環障害が考えられています。症状は難聴ですが、約9割の方に耳鳴り、約3割の方にめまいが起こります。ほとんどの方が片耳に起こります。発症早期(2週間以内)の治療が重要です。治療法としてはステロイド剤、循環改善剤、ビタミン剤などの内服や点滴を行います。当院では聴力の回復が思わしくない方や重症の方には高圧酸素療法を行っている病院を早期に紹介しています。

2.急性低音障害型感音難聴:
突発性難聴の一部で、原因不明の難聴が低音部のみに突然現れる病気です。治療などにより聴力が改善される患者さまは他の突発性難聴の方に比べ多いですが、1年以内に約3割は再発します。また一部はメニエル病に移行します。薬物療法としてステロイド剤、循環改善剤、ビタミン剤、利尿剤などを使用します。

3.音響外傷:
コンサート、花火、工場、工事現場などで大きな音を聞いた後に急速に耳閉感、耳鳴り、難聴などの症状が急速に現れます。耳痛やめまいを伴うこともあります。治療は突発性難聴とほとんど同じです。この病気も早期の治療が大切です。

4.ハント症候群:
帯状疱疹が耳の中や耳の周囲に発症したときに顔面神経麻痺や内耳障害をいっしょに起こし、顔が曲がったり、味覚障害が出たり、めまい、難聴、耳鳴りなどを起こす病気です。 帯状疱疹を起こすヘルペスウイルスは、水ぼうそうのウイルスと同じウイルスです。水ぼうそうに罹った後このウイルスが神経の根本に潜伏していて、何かの理由により免疫力が低下したとき増殖して神経に沿った帯状に発赤と小水疱を作る病気です。強い神経痛の様な痛みを伴います。これが耳の近くで発症したときに、このウイルスが耳の中にある顔面神経と内耳に炎症を起こす事があります。やはり早期の治療が大切です。抗ウイルス剤やステロイドなどを使用し治療します。顔面神経麻痺の回復が思わしくない場合は手術療法が適応になる場合もあります。

5.ムンプス難聴:
おたふくかぜ、流行性耳下腺炎(ムンプス:mumps )の原因であるムンプスウイルス感染時に片側の高度の感音難聴を起こす病気です。ムンプスウイルス感染時に、1,000人に1~2人の割合で起こります。治療は突発性難聴に準じ行いますが、難治性です。
6.耳硬化症:
耳小骨の中で一番奥にあるアブミ骨と言われる骨の動きが悪くなり、内耳に振動が伝えにくくなる病気です。伝音難聴で発症し、しだいに感音難聴が加わってきます。思春期以降に発症することが多く、進行性難聴を起こします。両側性の事が多いですが、片側のこともあります。女性にやや多く、妊娠により増悪することもあります。治療法はアブミ骨手術が適応になります。

7.外リンパ漏:
内耳と中耳の間にある壁が破けて内耳内にある外リンパ液が中耳腔に漏れ、難聴やめまいを来す病気です。原因としては、外傷などもありますが、重いものを持ち上げるなどの力仕事や鼻かみ、咳などの日常動作が誘引になることもあります。難聴の程度はさまざまですが、変動したり、徐々に増悪することもあります。しばしば耳鳴りや耳閉感を伴います。「パチッという音が聞こえた」「耳の中で水が流れる感じがする」「圧が耳に加わるとめまいがする」という訴えのある場合があります。治療法は、安静から手術まであります。

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甲状腺とは、のどぼとけの下にある臓器です。新陳代謝を制御するホルモン(男性ホルモンや女性ホルモンではありません)である甲状腺ホルモンを出しています。
主な甲状腺の病気としては、甲状腺ホルモンが過剰になるバセドー病、甲状腺ホルモンが減少する慢性甲状腺炎(橋本病とも言います)、甲状腺腫瘍などがあります。病気の診断のため、ホルモンバランスなどを調べるため血液検査を行います。また、腫瘍の有無や腫脹の確認のため触診と頸部超音波エコー検査が先ず行われます。当院では開院時より耳鼻咽喉科領域ではまだ珍しかった超音波エコー検査を用いた診療を行ってきました。現在では頸部・甲状腺疾患が疑われる患者さまに対し、内部血流の解る超音波エコー検査装置による検査を行っています。(写真:超音波エコー検査装置、エコー画像)これにより悪性疾患の診断がより容易になりました。

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〒630-0122 奈良県生駒市真弓4-4-5
(真弓4丁目バス停前)